リコリスの魅力は、日本で彼岸花、曼珠沙華といった名前で昔から知られているリコリス。開花期を迎えると、葉もなく誰に知られることもなく地中から突然に花芽が姿を現します。 その先端は見る見るうちに天に向かってまっすぐ伸び、大胆に反り返った花弁、突き出した雄しべ雌しべの神秘的な花姿とともに私たちを驚かせます。
また、リコリスは日本の気候に良く合い丈夫で育てやすいこともあり、園芸を始めようかなというかたにもオススメ。育てやすさも魅力の一つです。
リコリスはヒガンバナ属に属し、日本を含む東南アジアに広く分布する彼岸花(曼珠沙華)の園芸種名です(同じリコリスでも薬草などで知られるカンゾウ属とは種類が異なります)。彼岸花は、秋の田んぼや土手を赤く染める馴染みの深い花。中国・揚子江の流域にも多く自生し、日本には稲作の伝来と同様に渡来したのではないかと言われています。
リコリスは、第二次世界大戦後、アメリカの植物学者 Hamilton P. Traub などにより品種改良が進められてきました。その流れを受けて日本でも育種に取り組む園芸家はいますが、あまりに日常的すぎる花であること、縁起がよくないとされた古くからの言い伝え、作出までに時間がかかるなどにより、まだ一般的に知られるところまでには至っていません。
そんな中、リコリスの育種に情熱を注いでいるのが、岡本自然農園の岡本守夫氏です。どんなに早くても新種が咲くまでに5~6年。開花を安定させるまでに10年。球根を増やすのにさらに10年…。そんな根気のいる作業が実り、岡本氏オリジナルのリコリスが誕生しました。岡本氏作出の「深雪」は、20年ほど前に交配し、ようやく昨年商品としての出荷にこぎつけたという逸品です。
花弁が反り返り、雄しべが長い。ヒガンバナのような咲き方
フリル状の花弁が反り返り、雄しべが長い。ヒガンバナのような咲き方
花弁は反り返らず、ラッパ状に咲く。 キツネノカミソリやナツズイセンのような咲き方
花弁が細く多弁化した咲き方