花は栽培するもの、育てるもの。しかし、ダリアには、それに加えて“創作する”という言葉がぴったりくる。毎年思いもかけない新しいダリアが生まれてくる。それを見た時の悦びと感動は、アーティストが作品を創作した時と似ている。そして、自分たちが育て創作したダリアを通じて、今度はそれを見る人たちとも同じ悦びと感動を共有することができれば。まさにそれこそが、私たちがダリアをつくっていく意味だと思います。
秋田国際ダリア園 鷲澤 康二 園長
私とダリアの出会い。それはごく普通というか自然なものでした。幼少期の頃から、自宅の前の庭に、当たり前のように咲いていた花、それがダリアでした。もちろんまだダイア園もなく、父(現秋田国際ダリア園代表)が愛好家として栽培していた頃です。そして、父が本格的にダリア園をはじめ、私も水やりなどの手伝いをするようになっていきました。そんな中で、いつしか気がついたら、自分にとってダリアが、当たり前なものから不可欠なものになっていったのを覚えています。そして、大学を卒業して社会人になった頃、父に正式に面接をしてもらい「自分もこの仕事をしたい」と伝えました。その時、父には「やれるものなら、やってみろ。でも、できなかったらあきらめろ」と言われました。今思えば、やれるかやれないかは、「自分が本気でどこまでダリアのこと考えられるか、どこまで本気で取り組むことができるか」ということでした。この仕事って理屈じゃできない。心からダリアと付き合っていけるかどうかが大切なんだと思います。
最初の3年間はダリア栽培の基本をマスターするだけで過ぎていきました。もちろん、手伝いと仕事では責任の重さもちがいますし、1500種類以上のダリアを栽培していくことは、手間もかかり大変なことがたくさんあります。特に注意しなければならないのが、いかにして自然災害からダリアを守るかということです。実際、昨年などは大雨に台風と大規模な災害に襲われました。しかも雪がすぐに根雪になって溶けないということまで重なりました。大雨で球根が1日水に浸ってしまうと、腐って球根がダメになりますし、切花用のハウスも冠水してしまって大変な目に遭いました。
でも、そうして育てたダリアを、来園してくれたお客様から「きれいだ」「すばらしい」という声を直接聞けると、すべての苦労が吹っ飛んでしまいます。むしろダリアの花が咲いた悦びをお客様と共有できることが、大きな感動となって心に刻まれていきます。
ダリアって、大きさも、種類も豊富ですし、花型も17種類くらいあって、色も青以外はほぼ全部あります。ここまでバリエーションが豊富な花って、そうそうないと思います。つまり、その分、手間の掛け甲斐があるというか、大きなポテンシャルを秘めている花だといえるのです。たとえば、毎年さまざまな品種改良の取り組みを行うわけですが、そんな中で「こんなのができた」という私たちも予想しないようなものが生まれてくる時があるわけです。やはり、それはダリアのような大きなポテンシャルを秘めている花じゃないと、なかなかそんな可能性はでてきません。だからこそ、面白い、やりがいもある。正直、もしもダリアじゃなかったら、私自身ここまで花の栽培にのめり込んでいなかったかもしれません。
秋田国際ダリア園から見上げると、丘の上にはレストラン「ヴィアフローラ」。
1歩、園に入ればそこにはダリアのオアシスが広がっています。
実はダリアって、ブライダルや装飾で使われるケースが多いこともあり、現状では大都市圏の花屋さんでしか取り扱われていません。だからこそ、もっと全国の花屋さんで扱ってもらうというのが大きな目標です。ただ、ダリアは切り花としてはまだまだ発展途上で、花色、草性、花もちなど、さまざまな課題があります。もちろん、こうした課題を克服するための品種改良にも積極的に取り組んでいますので、茎が堅く、花もち、草型、そして枝上がりの良い、そんな品種ができる日もそう遠くはないと考えています。
また、最近はガーデニングとしても、ダリアの人気は高まってきています。ただ、暑さに弱いので、耐暑性のあるダリアや、今までにない大きさや迫力、豪華さを持った品種も作りたいと思います。
一日でも早くこうした課題を克服することによって、ダリアはガーデニング定番の品目になり、更に評価してもらえるようになると思います。いずれは、バラなどの切り花として代表的な品目と同じ土俵に立てるよう頑張りたいと思います。
手作業で1つずつ分球します。根気のいる作業です。
分球の作業過程で使う道具は、毎回消毒しながら作業を進めます。球根には全て名前が書いてあるため、植えるときも安心です。
AGSさんとは、ダリアを一緒に販売していくパートナーとして、もう20年近いお付き合いです。最初の頃はお互い手探り状態でしたが、AGSさんを通じて、ダリアのことを知ってくださった方は多いと思います。特にAGSさんが制作されているダリアのカタログは非常にわかりやすくて、来園されるお客様にもとても人気です。単に販売カタログというより、ダリアの広報誌的な存在になっていると思っています。実際、これを通じて卸し問屋さんからもお問い合せをいただくことが増えて、感謝しています。今後も、さらにダリアを共に認知度をアップさせ、一人でも多くの方に届けていきたいですね。
私達が秋田国際ダリア園スタッフです。暑い日も寒い日も、みんなで協力して頑張っています。
住 所:〒010-1223 秋田県秋田市雄和妙法字糠塚21
行き方:1.秋田空港から車で5分 / 2.JR秋田駅東口から車で30分