産地紹介

椎名洋ラン園

家の中で花を飾る場所って、なんとなく玄関が多くありませんか。実は、花にとっても心地よい環境って人と同じ15℃~20℃程度の温度なのです。つまり、花は玄関よりリビングに飾ったほうが、元気でいられる。人も身近で接することができる。そして、そんな空間にこそ、幸せは生まれるのではないか。私たちは、蘭がそんなほのぼのとした平和のシンボルになれればと考えています。

“幸せが飛んでくる”
平和のシンボルに!

椎名洋ラン園 椎名 正剛

花との出会い > 無いのなら、自分たちでつくってみよう

元々ここは、私の両親が梨畑を営む農家でした。ところが、私が農学校に通っている時に、偶然一輪の蘭と出会ったことが、洋ラン園へと変わるきっかけとなりました。当時は、蘭に対して、「なんでこんなに値段が高いの」「こんなに大きいと飾れないわよ」というお客様からの声が多く聞かれました。しかし、小さくて、長持ちする蘭って、なかなか無かったのです。「だったら自分たちでつくってみよう」。それがスタートラインでした。
とはいえ、私のまわりに蘭をつくっている人は誰もいないし、もちろん両親からも大反対されました。それでもあきらめなかったのは、コンパクトだけど、ボリューム感と豪華さがあり、しかも比較的安価な蘭を提供したい。そんなお客様の要望に応えられるような蘭がつくれれば、きっと新しい何かが生まれるはずだという私自身の強い確信だったかもしれません。

広いハウスの中で、色とりどりの様々な蘭を育てています。

作出の苦労 > 胡蝶蘭に対する誤解を払拭していきたい

知識も、設備も、人脈も、何もないところからのスタートだっただけに、最初の3~4年はさんざんでした。いろいろなところに行って、自分のイメージにあうものを探し、それを親株として集めて、交配しながら徐々に品種改良を行っていくのですが、なかなか思い通りにはいきません。最初の「リンリン」「ランラン」ができるまでは、かなりの時間がかかりました。もちろん、それからも安定して出荷できるようになるまでには10年くらいはかかりました。そして、ようやく「ミディー胡蝶蘭」というカテゴリーを確立することができたのです。
ミディー胡蝶蘭は、ほぼ当初のコンセプト通りにつくることができました。しかし、まだまだ「胡蝶蘭は高い」というイメージがあるので、それを払拭していきたいですし、スーパーなんかでも手軽に買えるような状況にしていきたい思います。そのための情報をいろいろなところへ向けて発信したいと思っています。

花への想い > 誰か大切な人のために咲かせる。それが花育

私たちは今、「花育」という活動に積極的に取り組んでいます。これは自分で胡蝶蘭を育てて、咲かせた花を誰かに贈るという試みです。「自分のために咲かすのではなく、誰か大切な人のために咲かせる」というのが一番のキーポイント。具体的には花芽がついた段階で、たとえばそれを小学生に託し、開花対応を子ども達自身が行ってもらう。そして、子どもが咲かした胡蝶蘭をお母さんにプレゼントする。子どもが咲かした胡蝶蘭をもらったら、すごい感激ですよね。花屋さんで買ってきたものを贈るという通常とは違うスタイルを「花育」として確立したかった。
同時に、この活動によって胡蝶蘭が小学生でも育てられ、温室のように管理されていない環境の中でも、きちっと咲かせられることを証明したかった。胡蝶蘭を育てることは難しいという誤ったイメージを、今後もこうした活動で払拭していければと考えています。

今後の展望 > オランダやアメリカで胡蝶蘭が手軽な理由

今、北京で苗をつくって、そこから直接アメリカとオランダに輸出しています。オランダにはミディー胡蝶蘭のような小ぶりな品種が無かったこともあって注目を集め、既に120~130万本の苗がでています。しかも、そのすべてが一般家庭用なのです。つまり、彼らは豪華なものじゃなくて、窓辺に置くだけで何年も咲いているような手軽に飾れる品種がほしいわけです。日本での胡蝶蘭需要は、殆どがギフト需要なので、胡蝶蘭を自宅に飾る習慣は、あまり普及していません。しかし、将来的にはオランダと同じようになればいいなと思いますし、そのために私たちももっと努力していきます。

最初のうちはこんなに小さくて可愛いんです。

AGSに期待すること > 共にさまざまな情報発信をしていきたい

最後にAGSさんとは、やはり「胡蝶蘭は敷居が高い植物」という誤解を払拭していくための情報発信を一緒にやっていきたいですね。同時に、ギフト需要だけでなく、胡蝶蘭を自宅で楽しんでいくようなライフスタイルの提案なんかも、どんどん一緒に行っていけると良いと思います。
また、ほんの少しの葉傷や花傷で出荷できない胡蝶蘭もあります。それを単にB級商品とするのではなく、たとえば自宅用のお試し品として販売するとか、傷がついていても生きている植物なので、それを活かせるようなコンセプト商品を一緒に発信していけるパートナーとしても期待しています。

椎名洋ラン園

住 所:〒289-2531 千葉県旭市井戸野3665

行き方:【最寄り駅】JR総武本線 干潟駅より徒歩25分